運用業務を別会社から引き継ぎするけど、何か注意するポイントってある?
運用業務の引継ぎって、実際の環境を知らないので苦労しますよね。
また、引継ぎ元の会社が長い間運用業務をしていればしているほど、情報がなかなか出てこない場合があります。
基本的は引継ぎ項目は契約元会社(雇い主)との調整で決めるのですが、少なくとも運用対象のサーバやコンソールに入るための方法は必須です。
実際、私が運用業務の引継ぎで苦労した点も交えながら、抑えておいた方が良いポイントを紹介します。
契約元(雇い主)は運用業務のための情報を持っていないことが多い
会社間の契約形態にもよりますが、運用業務を丸投げして管理できていない場合がある
雇い主側が運用側に作業を丸投げし、ほぼ管理もしていないような場合は、運用業務のための情報を雇い主側は持っていないことが多いです。
そのような場合は、運用設計書は入手できても、実際の操作ベースの運用手順書は入手できない可能性があります。
(契約で提出物として定めらている場合は、契約元から入手が可能ですが、そこまで決めることが稀なので入手は難しいと思います)
引継ぎ元から運用手順書の引継ぎが行われない場合は、運用設計書から作成する必要があります。
必須で押さえておくべき項目(経験談)
システム環境、サーバやホストへの接続方法だけは押さえておく
実際に業務に必要な項目は契約元の雇い主と打ち合わせを行い決めていく必要があります。
- 環境設計書(サーバのスペック情報をまとめた資料)
- 環境設置計画書(サーバの構築時の情報をまとめた資料)
- ネットワーク構成図(システムのネットワーク構成)
- 運用設計書(運用の方針をまとめた資料)
- 運用手順書(運用設計の内容を運用基準まで細かく記載した手順書)
- アカウント管理台帳(サーバ毎のアカウント情報)
等、色々な項目が出てきます。
多くの資料は、雇い主と運用側の会社の契約内容にもよりますが、提出資料として扱われています。
(運用手順書は提出資料として扱われていない場合もありますので、確認が必要です)
その為、雇い主から情報を吸い上げることが出来るはずです。
ここで、必須で押さえておくべき項目について記載をしておきます。
「アカウント管理台帳」
名前の通り、サーバ毎のアカウントを管理するための台帳になりますが、この資料は細かく確認しておいた方が良いです。
具体的には下記の内容については情報があるか確認が必要です。
- アカウントのパスワード変更が可能かどうか
- アカウントの使用用途の情報
- ログインするために経由するサーバがあるかどうか
- コンソール接続方法
- iLo接続方法(HPUX)
- シャーシ接続方法
運用業務を行うことで、サーバの情報、接続方法が不明なのは致命的になります。
ログインする方法、システムがフリーズした時のリセット方法については押さえておく必要があります。
パスワードの変更ができるか、アカウントの使用用途
アプリケーションに組み込まれているアカウントは当然パスワードの変更が行えません。
逆に運用業務で使用してるアカウントは定期的なパスワードの変更が必要になります。
引継ぎ時点では、そこまで管理する必要が無いという方針でも、システムが監査対象に変更になった場合は、パスワードの運用が必須になります。
ログインするために経由するサーバがあるか
特定のサーバを経由しないとログインできないサーバがあるかの確認になります。
機密性の高いシステムは接続元を制限している場合があるため、この確認は必要になります。
そういったシステムがある場合、まず経由するサーバへの接続が行えることから確認が必要です。
また、同じような理由から遠隔での接続ができないシステムの有無も確認が必要になります。
コンソール接続、iLo、シャーシ接続
サーバがフリーズした時のリセット手段を明確にするために、接続方法を確認しておく必要があります。
全て仮想サーバで、vCenter上で管理されていれば単純なのですが、物理サーバとして構築されているサーバがあればこの確認が必要になります。
今は多くのサーバが仮想サーバで構築されていますが、昔からあるシステムを引き継ぐ場合は物理サーバの可能性もあります。
運用ルールは見直しした方が良い
運用ルールの見直し、提案が一番しやすいタイミングの為、特別対応で行っていた業務はあるべき運用に変更したほうが良い
運用方針に従うことは当然なのですが、運用ルールは見直しを行った方が良いです。
引継ぎ元が行っていた運用業務と同等、それ以上の業務が出来れば良いですが、すぐには難しいためです。
また、運用業務を引き継いだ時が一番運用ルールを変更しやすい、提案しやすいタイミングです。
引継ぎ元が独自で対応していたような手順があれば、運用業務として「あるべき」運用に切り替えていく(提案していく)と、契約元からの信頼も得られますよ。
最後に
業務を引き継ぐときは他のことに気が回らないくらい忙しく、またプレッシャーもあります。
どれだけのチーム構成で引き継ぐのかは、規模や安定性にもよると思いますが、全体的な視野で見る人が一人いれば安心ですね。