40代で中小SES企業から大手派遣会社の無期雇用派遣に転職しました。
現在は派遣先で仕事をしていますが、派遣会社の社内業務(社内行事)の量も含め多くの点で満足しています。
給料や社内業務などの働き方について、転職前に働いていた中小SES企業と比較してみます。
このような方向け
- 派遣会社で仕事をすることに不安や抵抗を持っている方
- ITの転職活動で派遣会社やSES企業しか転職先が無いと考えている方(無期雇用派遣を転職先から除外している方)
書いた人の経歴
中小規模のSES企業にて約20年間働いたのち、同じIT業界の派遣(無期雇用派遣・常用型派遣)に転職。テストからテスト設計、サーバ系の運用保守から設計まで様々な会社に常駐・派遣され日々仕事を行っています。
(はじめに)派遣会社とSES企業の働き方の違いについて
はじめに派遣会社とSES企業の働き方の違いについて簡単に記載をします。
それぞれ、派遣先・常駐先の企業との契約が「派遣契約」か「SES契約」(SES:システムエンジニアリングサービス)の違いです。
具体的に違う点は何かというと、大きく以下になります。
大きな違い
- 派遣契約:派遣先から作業の指示、また管理される
- SES契約:常駐先(派遣先)からの直接の作業指示はなく、SES企業側の管理者が作業指示を行う
この「SES企業側の管理者」ですが、中小SES企業の場合は常駐しているチームのリーダーの方になることが多いです。
SESが複数人の体制、チーム体制なのは、この「SES企業側の管理者」が1名、それに作業者が複数人居るためです。
まれに、一人で常駐しているSES企業もありますが、その人は「SES企業側の管理者」兼、作業者というほぼ派遣契約と同じ状態となります。
いわゆるブラック企業では、SES契約にも関わらず一人常駐することが多いため、このような会社に入社してしまった場合は転職など脱出する方法を考えましょう。
派遣(無期雇用派遣・常用型派遣)とSES企業の比較
無期雇用派遣とSESの比較を記載する前に、前置きとして会社規模を記載します。
給料や働き方など、会社規模によって大きく異なるためです。
会社規模
- 無期雇用派遣:大手の派遣会社。社員数は数千人規模。
- SES企業:中小企業。社員数は300人前後。
実際に双方で働いてみて、感じた違いを記載します。
派遣(無期雇用)とSESの違い
- 給料について(派遣会社:明確、SES企業:不明確)
- 賞与について(派遣会社:ある、SES企業:ある)
- 福利厚生について(派遣会社:普通、SES企業:普通)
- 社内業務について(派遣会社:ほぼ無し、SES企業:ある)
- 仕事内容について(派遣会社:選択ができる、SES企業:選択はできない)
- 仕事のしやすさについて(派遣会社:個人の技量に依存、SES企業:仕事はしやすい)
- 世間体について(派遣会社:悪い、SES企業:普通)
給料について(派遣会社:明確、SES企業:不明確)
派遣会社:明確
派遣会社は明確です。
派遣先との契約単価、いわゆる時給によって基本給が決定するため、契約単価が分かれば給与はどの程度になるかが分かります。
(現在の派遣会社では、正確には契約単価と社内評価から給与が決まります。)
基本給の見直しタイミングは会社によって異なりますが、多くは半年~1年毎かと思います。
派遣先で仕事内容が評価され、契約時給が上がると自身の基本給も上がるので仕事へのモチベーションも上がります。
逆に考えると、契約時給が下がると基本給も下がるという悪い面はあります。
契約時給が大きく変わるタイミングとしては、営業担当者を通して派遣先と単価アップの交渉をする、または派遣先が変わった時になります。
派遣先の変更は、今の派遣先よりも高い時給の仕事があれば基本給は上がりますが、そのような派遣先が無ければ自身の能力にかかわらず下がってしまいます。
また、派遣先が決まらない場合は給料が減る可能性も高いです。
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SES企業:不明確
SES企業については不明確です。
どんなに契約単価が高くても、直接給与に反映されることはありません。
年に1,2回ある人事査定で業績や役職によって昇給額が決定され給与に反映されるためです。
普通に働けば減給などはほぼ発生することが無いため、査定で評価が低くてもある程度は昇給します。
査定は常駐先に居ない自社の上司によって決められることが多いため、上司に仕事内容をアピールする能力が必要になります。
SESの場合でも常駐先や仕事が決まらない場合がありますが、持ち帰りで受注している仕事の手伝いや社内業務などを行い、給料が減額される可能性は低いです。
また、幅はありますが定期的な昇給があるため、年々収入は増えます。
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賞与について(派遣会社:ある、SES企業:ある)
派遣会社でも無期雇用派遣の場合は賞与が支払われる会社が多いです。
有期雇用派遣ではなく、派遣会社の正社員という扱いだからだと思われます。
しかし、派遣会社にせよSES企業にせよ、業績自体が悪ければ支払われないこともあります。
社内規定にも、業績が悪い場合は支給額を減らす、または無い旨の記載がされています。
福利厚生について(派遣会社:普通、SES企業:普通)
派遣会社もSES企業も一般的な福利厚生はそろっています。
交通費の支給や健康診断などです。
また、福利厚生とは少し違いますが、無期雇用派遣でも有給休暇はあります。
会社によって福利厚生の内容は大きく差がありますが、規模の大きい会社の方が充実している傾向があります。
一つの例ですが、規模の大きい派遣会社で、全社員に対して社用スマホの支給をしているところもあります。
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社内業務について(派遣会社:ほぼ無し、SES企業:ある)
派遣会社:ほぼ無し
派遣会社は基本的に派遣先の営業担当との打ち合わせ、会社全体の会議、部署個別の会議への参加のみです。
派遣先を決める時、決まった後の定期的な連絡、勤怠報告程度です。
色々とイベント的なものはありますが、強制参加などはなく、自己判断になります。
無期雇用派遣は、派遣会社の正社員の為、社員間のコミュニケーションを活発化させようとミーティングを頻繁に入れる会社もあるようです。
SES企業:ある
SES企業は定期的な会議、社内業務の担当、役職が上がればチーム内メンバーとの面談など細々と発生します。
帰社日などが設定されていて、常駐先の仕事を切り上げて自社に戻る日が設定されている会社もあります。
「社内業務の担当」とは、自社のセキュリティ関係の委員であったり常駐先からの問い合わせ窓口役などです。
完全に業務とは別の仕事で、中には資料、報告書を作成するような社内業務もあります。
社内業務を行うことで、常駐先業務以外の部分で上司から認知され、また話す機会も多くなるため昇進しやすいというメリットもあります。
仕事内容について(派遣会社:選択ができる可能性がある、SES企業:選択はできない)
派遣会社:選択ができる可能性がある
派遣会社は複数の派遣先候補と打ち合わせを行い、通過した派遣先から選択が可能です。
無期雇用の為、最終的な決定権は会社が持っていますが、基本的に希望が通ります。
会社側が派遣先候補を挙げた時点で、どこに派遣されても会社としてプラスになるので、その先は個人の希望を優先しているのだと考えています。
しかし、未経験で無期雇用になった方は選択肢が無いです。
保留していると他の派遣会社に取られてしまうため、派遣先が決まればすぐに派遣されるためです。
SES企業:選択ができない
SES企業では会社側の指示に従うのみです。
契約上、複数人での参入が必要なため、新しい会社とのSES契約はハードルが高くなっています。
その為、すでにチーム体制を組んでいる会社へ増員として入ることが多くなっています。
未経験でも、すでに知識を持っている同じ会社の上司が常駐しているため、相談もしやすく安心感はあります。
仕事のしやすさについて(派遣会社:個人の技量に依存、SES企業:仕事はしやすい)
派遣会社:個人の技量に依存
派遣の場合は、基本的に一人のため、個人の技量によります。
経験や知識があれば重宝され、仕事もしやすいと思いますが、逆の場合は仕事ができないと判断されてしまいます。
この場合は、派遣されて1,2か月で終了ということも十分にあります。
派遣先の社風によって仕事のしやすさは大きく異なりますが、自分から質問をする積極性が必要になります。
SES企業:仕事はしやすい
SES企業の場合は、チーム体制で仕事をしているため、教えてくれる方が多く居ます。
その為、仕事のやり方、常駐先の社風なども教えてもらえることができ、仕事もやりやすいです。
個人単位の契約をしているのではないため、自社辞令で常駐先から異動することはありますが、契約先の会社から個人単位で終了を言われることは基本的に無いです。
世間体について(派遣会社:悪い、SES企業:普通)
派遣会社:悪い
派遣会社は悪いです。
一般的に派遣というと有期雇用、非正規のイメージが強く、急に契約を終了されるなど不安定な働き方だと考える方が多いためです。
さらに年収が低いというイメージもあります。
無期雇用の場合は派遣会社の正社員という位置付けのため、急に収入が途絶えてしまうことはありません。
また、IT業界の派遣の場合は他の業界に比べて収入(年収)は比較的高く、経験者であれば平均的な年収を得ることができます。
SES企業:普通
SES企業については良くも悪くも無いです。
SES企業がどのような働き方をしているのか、SES契約がどのような契約なのか知っている人の方が少ないためです。
単にイメージがが出来ないため、世間体は気にすることは無いです。
派遣会社かSES企業のどちらに向いているのか
派遣会社かSES企業か、違いは多くありますが、選択するポイントとしては以下があります。
派遣かSESか
- 管理職を目指すか技術者(スペシャリスト)を目指すか
- 新しい技術を勉強することが好きかどうか
管理職を目指すか技術者(スペシャリスト)を目指すか
派遣会社で働くと、派遣会社内部、例えば営業などで働かない限り昇進などは無いです。
ずっと技術者として働き続けたい、現場で色々な技術に触れてスペシャリストになりたい考えている方は派遣会社に向いています。
また、いずれはフリーランスとして仕事をしたい方にも派遣会社での働き方は向いています。
逆に技術力よりも人の管理をするなどの管理側の仕事をしたいと考えている方は、SES企業の方が向いています。
もしくは、自社開発している客先常駐を行っていない会社の方が良いです。
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新しい技術を勉強することが好きかどうか
派遣会社に技術者で居るためには、常に新しい技術を勉強しておく必要があります。
一つの技術でずっと仕事が出来る人は非常に少ないです。
契約期間が終了し新しい会社の選定が始まった際に、自身の持っている技術力を活かせる派遣先が無い場合は厳しい選択を求められると思います。
契約単価が低い、つまり給料が低くなる派遣先に出されるか、可能性としては解雇もあります。
そうならないために、何歳になっても勉強を行い、自分自身を売り込める知識を持っておく必要があります。
SES企業の場合はある程度年数を重ねれば常駐先の管理者になることが多いです。
技術は当然必要ですが、それよりもコミュニケーション力が必要になります。
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転職先候補の一つとして無期雇用派遣を考えるのは有効
自社開発の正社員、無期雇用派遣(派遣会社の正社員)、SES企業の正社員、エンジニアとして働く場合、色々な選択肢があります。
それを選択するにしても、ITエンジニアとして転職を行う場合は、大手の転職サービスとエンジニア専用の転職エージェントの双方を利用することをおススメします。
個人的な感覚ですが、派遣会社の無期雇用派遣も転職先の候補として考えても良い場合は、パソナなどの大手転職サービスを利用し、規模の大きい派遣会社に入った方が良いです。
規模の大きい派遣会社の方が、一次受け企業への派遣先が多く、また派遣先の選択肢を多く持っていると感じているためです。
また、自社開発の正社員やSES企業への転職を考えている方はエンジニア専用の転職エージェントの方がおススメです。
エンジニアに特化した多くの求人を持っているため、選択肢が増えるためです。
ITエンジニア専用の転職エージェント
派遣会社の無期雇用派遣については、転職エージェントを利用する方法もありますが、派遣会社へ登録し、有期雇用から変更する方法もあります。
ただし、登録を行う場合は大手の派遣会社にすることをおススメします。
さいごに(派遣会社に転職した結果)
現在在籍している無期雇用の派遣会社と転職前の中小SES企業の違いついて記載しました。
会社規模や、会社の方針などにより大きく異なるため、一つの例として参考にしてみてください。
私自身は40代で派遣会社に転職をしましたが、中小SES企業で働いていた時よりも現状は仕事内容も年収も満足しています。
転職活動は、何を目的にするのか、重視するのか、またどのように働きたいのかを世間体など気にせずに行った方が良いです。
IT業界で転職活動を行っている、または転職活動を行う予定の方の参考になれば幸いです。